2020年4月2日、インドシナ3国の旅行記を書き終わりました。考えながら書いたので思ったよりも時間がかかりました。
この旅行記に書かれている様子は2019年11月のものですから、新型コロナウィルスの流行の前です。今になってみれば随分とのどかに見えてしまいます。
今心配なのは、公衆衛生状態の整っていない地域の様子です。先進国と言われる国々ですら凄惨な様相を呈しており、自分自身どうなるかわからない、ましてインフラが未発達で医療体制も整っていない国や地域において、今回の厄災はあらゆる面でひどいダメージを国家や人々に与えるだろうことに疑う余地はありません。
それでもと思うのは、インドシナ半島に生きる人たちは降りかかってきた厄災、他国から侵略を受け、自分に落ち度がないのに本当にひどい目にあってそれを潜り抜け、振り払って生きてきたという歴史があるということ、そしてその影響を今でも引きずりながら乗り越えようとしている事実です。
私が訪れた3国において、人々はしたたかでした。チャンスがあれば自らを鼓舞してより良い明日を勝ち取ろうとする。のんびりしているように見えてしっかり相手の足元を見、生きる力が旺盛でエネルギーに満ちて、そして時として暴力的でさえあるが優雅で優しい。
私がヤンゴンの川辺でタクシーの運転手から聞いた言葉は「希望」です。明日に希望を持つから今頑張る。三つの国、どこでも明日に向けて希望を語る人に会いました。 日本では久しく聞くこともなく口に出すことも恥ずかしいように感じてしまうこの言葉を、違和感なく自然に口に出す人を見て、希望こそが明日に向かう力の源泉ではないかと思いました。
夢は実現しなくても夢、希望は実現の見通しがあるからこそ希望たりうる。そして大切なのは、自ら希望を持たずして明日をつくることはできないこと。
私が今回の旅行でかの国と人々から学んだことは、希望、したたかさに裏付けられた希望を持つことの大切さであったと思います。
世界はこの厄災で大きく変わるでしょう。いつか可能であれば、また3国を訪れて希望の行方を確かめたいと思っています。
2020年4月2日